合田さんご家族
合田 昌範さん(左)
香川県出身。金融機関に勤務し、各地での転勤生活を送る。定年を機に移住。福井支店に再雇用された。
合田 佳子さん(右)
兵庫県出身。金融機関に勤務。結婚を機に退職し、専業主婦に。
移住のきっかけは?
昌:妻の父、私の父が相次いで亡くなり、死というものが現実になりました。いずれ妻も亡くなって東京の家にポツンと一人の生活になるかもしれない。移住を考えるきっかけはそういうところからでした。都市部は収入を得るには適していますが、無駄な時間と経費とストレスがのしかかります。福井まで車で40分ほどの距離を、東京では2時間くらいかかります。都心で駐車するにしても料金は月に2~3万。電車であれば満員電車。それらが生活の価値を半減させてしまいます。単身赴任で地方の生活を経験すればするほど、時間と空間に余裕がある「地方の豊かさ」とのギャップを強く感じました。
大野に決めた理由は?
昌:単身赴任中の気ままな時間を利用して、青春18きっぷを使って兵庫県から富山県まで細かく自分の足で見て周りました。福井県を旅して泊まったホテルや民宿での会話や、電車の中で聴こえてくる学生の会話が楽しかったんです。本音で思っていることを、赤裸々に話していて飾らない。生活していてほっとできます。その中でも、大野に決めた理由は人です。そして食事がおいしかったというのも理由の一つです。
佳:お米もお野菜もお魚もみんな美味しいですよね!スーパーマーケットにならんでいるのも種類が豊富で。
昌:それからこちらはバーベキュー文化がありますよね。スーパーにはお肉もいろんな部位が手ごろな値段であって、食べることに関しては本当に贅沢だなって思います。
佳:大野の人は近所の人を呼んでバーベキューするのでびっくりしちゃいました。でもいい匂いで美味しそうだなぁって(笑)
大野での生活について
佳:私は東京でも専業主婦で、家にいることが多かったのであまり変わらないですね。好きな雰囲気の家を作ってもらったし、主人が喜べばどこででも。それに、私も子どもが小さいうちは一緒に地方に住んでいましたから、その時の経験から「こんなもんなんだ」というのがあったので、特に大野にきて驚くってこともないですね。
昌:妻は運転ができないので、市内での買い物に限られてしまうから、ちょっとした退屈さはあるかもしれません。新しい買い物をするときは、たまに福井に出かけています。
佳:この間、主人がネットで調べてくれた福井の雑貨屋さんまで連れていってもらいました。
昌:そういうのも新しい街に住む楽しみですよね。
これからについて
昌:ボランティア活動に興味があります。この間、ボランティアで草刈りをしました。それに限らず、いろいろなボランティア活動をしてみたい。とりあえずは薪ストーブに使用する薪を冬までに準備しなければなりません。少しずつ原木を森林組合か土木事務所で仕入れてきて、自分で割ろうかと思っています。薪ストーブ用の薪を自分で作る準備は時間がかかる作業で、薪割りをしたとしても一年以上乾燥させないといけないので、来シーズンもホームセンターで薪を買ってやるしかないかな、と思っています。
佳:都会では薪ストーブを設置するのに許可が必要だったりするので、大野じゃないとできなかったです。忙しくなります。
どんなところに住んでる?
大野地区泉町です。
大野に来てから金銭面で変わったことはありますか?
給料は全国どの支店でも、あまり変わらないです。
刺身が安いことに驚きました。スーパーにあんなにたくさんの種類の魚が並んで、かつ新鮮で安い。魚だけでも東京に比べて比較にならないくらい安いです。
休日は何してる?
登山や里山歩きをしています。
他の移住者との交流は?
まだありません。近所は新しい家が多いけど、大野市内で引っ越しした人が多い印象です。
印象的なエピソードは?
今回の移住について知り合いに挨拶状を出したんですが、「私の母の実家は大野ですよ」とか「あの人は大野出身だよ」と言われることがありました。周りには大野に関係がある方が意外に多く、これも縁だなと思いました。
地域にとけこむためのコツは?
無理せずに自然に。挨拶くらいから始めています。
大野に住んで、うれしかったことは?
日常から自然に触れられることです。引っ越しして早速隣の畑にヘビが出現したのにはびっくりしましたが、何気ない日常の風景に心が動きます。青く澄み切った空、残雪が残る山並み、広がる田畑など。食と自然、大野に来てよかったと思います。来たかった場所なので、思った通りのところでうれしかったです。妻は好きな感じの家が出来てよかったと言っています。
大野で気になったことは?
残念だなって思うのは車のマナーが悪いことですね。
大野の魅力を教えて?
大野の魅力は人だと思います。汽車の中などで、地元の人同士が会話しているのを聞いていても、話の展開や流れが楽しいです。それに大野の人に限らず、福井の人は自分の思ったことをきちんと伝えてくれます。挨拶一つにしても型にはまった話をしなくてもいい。都会では電車の中ではほとんど会話はありません。喫茶店でさえも、会話をすると隣の人にうるさそうな反応をされることもあります。こちらでは高校生からおじいちゃんおばあちゃんに至るまで、大きな声で「間違っているかもしれないが私はこう思っているんだ」と堂々と会話しているので、生活をしていて温もりを感じます。何かほっとします。
先輩として後輩にメッセージを!
先輩としてなどとはとても言えないですが、大野は本当に自慢できる街だと思います。いろんな意味で生活しやすいですし、《豊かさ》が実感できる街ですね。長年の転勤生活を送ったうえで大野に決めましたが、それに間違いはなかったと思っています。ただ、それは私の主観であって、他の町を知らないと大野の良さは分からないかもしれません。若いときは外にでて色々な経験したうえで「こういう暮らしがいい」「家族としてこう在りたい」を決めて、最終的に大野へ移住やUターンするという選択肢もいいんじゃないかなと。そうしたほうがより大野の素晴らしさがわかると思います。