武村 晋作さん

兵庫県に生まれ、小学生の時に福井市へ。高校までは福井市で過ごす。県外に進学し、就職をきっかけに大野へ移住する。実家がある福井市と二地域居住をしていたが、結婚を機に大野に居を構えた。

移住のきっかけは?

10年ほど前に父が引き継いだ病院の事務を手伝ってくれ、と言われたのがきっかけです。関西の生まれですが、小学生の時に親の仕事の関係で福井市に移住し、高校まで暮らしました。関西の大学に進学してからは福井に戻るつもりはなく、田舎暮らしにも憧れはありませんでした。大野で暮らし始めてしばらくは毎日が退屈で、正直「大野が嫌い」でした。ところが、大野の人たちの性格がすごく馴染みやすくて好印象で、加えて、食べ物や水とか大野の良さを感じるようになって、次第に「ああ、ここいいな」って思うようになってきました。

大野に馴染むために

「自分から動かずに大野を嫌いって言うのはアカンかな」と思って、大野市日中友好協会が毎年2月に行う中国人研修生と日本人との交流イベントに、ボランティアスタッフとして参加しました。大野にはほとんど知り合いがいませんでしたが、これをきっかけにいろんな人と知り合うことができました。知り合った人たちは素敵な方ばかりで、大野には面白い人や面白い考えを持った人が多いことに気付くことができました。

武村さんの写真
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武村さんの写真
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不便さを受け入れる

移住する前は、近くに大きなショッピングセンターやデパートがないと不安でした。でも、今となっては意外と必要ないですね。食べ物やちょっとした日用品があれば生活はできるので、なにか特別なものを買うのでなければ特に不便さを感じなくなりました。それに、大野にはチェーン店が少ない分、地元の個人商店との付き合いが多いですね。たとえば「灯油を注文するなら○○さんやね」とか「家を少し修理してもらうなら△△さんやね」とか。福井市や都会では大手のチェーン店などに頼んでしまいますが、大野では個人商店とのつながりを大事にしている。そういうつながりはとても素敵やなって思います。

友人に「良さ」を伝える

大野の良さは“観光”よりも“日常”にあると思っています。ですので、大野を訪れた友人には日常の素晴らしさに触れてもらいたいですね。家の蛇口から美味しい水がでるとか、食べ物の美味しさだとか、《私が好きな大野》を友人に伝えています。その甲斐あってか友人の一人が大野へ移住しましたし、さらにもう一人の友人も移住を検討しているようです。ただ、大野の良さを伝えると同時に「冬は過酷だよ」と言わなければならないですね。そういえば以前に、県外の友人が遊びに来たとき、一晩で40㎝くらい雪が積もったことがあって、「冬だけは暮らしたくない」って言っていました(笑) 。

どんなところに住んでる?

まちなかに住んでいます。スーパーや商店街、市役所などが徒歩圏内なのでありがたいです。

大野に来てから金銭面で変わったことはありますか?

物価については、ガソリンが高いように思います。
なるべく地元の物を買うようにしていますが、質が良いので割高感はないですね。大野の豆腐に大野の醤油をかける、それだけでごちそうになる。大野に来て一番感動したのは醤油です。

休日は何してる?

イベントに参加したり、家族で出かけたりしています。六呂師高原が好きでよく行きます。広い草原の中で放牧されている牛が間近で見られるスポットに行ったり、温泉に入ったり、星を眺めたり……。まちなかからわずか20分で大自然に触れられるのは素敵ですね。広域的には白山や郡上・高山など魅力的なスポットが比較的近くに点在しているのがうれしいです。

他の移住者との交流は?

あります。友達が移住してきましたし、移住者交流会で知り合った方とも交流があります。

印象的なエピソードは?

野生動物が身近にいることですね。道路でサルを見かけたことがあってびっくりしました。

地域にとけこむためのコツは?

機会を見つけて自分からコミュニティに入っていったことです。それからフリーペーパー「おおのじかん」を愛読していました。大野の人やローカルな情報が詰まっていて大野のリアルを知るにはすごくいい情報源でした。廃刊になったのは残念ですね。

大野に住んで、うれしかったことは?

大野はいい人が多い。妻も銀行や郵便局で手続きをすると「こんな奥まった田舎によく来てくれました」と、温かく迎えてくれたことがとてもうれしかったみたいです。

逆に、辛かったことは?

地元の人が観光客に「こんな何もないところにようきたの」というところ。
もっと胸を張って大野の良いところを伝えてほしいなと思います。

大野の魅力を教えて?

水、食、人柄……。どれも素敵だけど一番は水じゃないかな。良質な地下水がすぐ手に入る場所って全国的に見ても少ないので、大野の一番のアドバンテージだと思います。

先輩として後輩にメッセージを!

地理的にも気候的にも、最初の一歩を踏み出すのはすごく勇気がいる場所やと思います。でも一回住んでしまえばどうにかなるし、実際に暮らしてみることで豊かさを実感する土地だと思います。